こんにちは!みぞこし歯科医院歯科衛生士の岩永侑里香です。皆さん、「シーラント」ってご存知ですか?今日からシーラントについて書いていきます。
☆奥歯の溝はとてもむし歯になりやすい!☆
シーラントというのは、奥歯にある深い溝を封鎖する予防処置のことで、お子さんのむし歯予防に使われています。
奥歯の溝は複雑な形をしていて、食べかすやプラーク(細菌の塊)がたまりやすい場所です。人によっては溝がとても深く、どうやっても溝の奥に歯ブラシの毛先が届かないことがあります。
入り込んだ食べかすやプラークは、そのままだとむし歯菌の温床に。そしてさらに悪いことに、お子さんの場合、生えはじめたばかりの歯は、歯の質が弱くむし歯菌の出す酸にとても溶けやすいのです。このため、深い溝がある生えはじめの奥歯は、むし歯になるリスクが非常に高いといえます。
☆理屈はシンプル、効果はパワフル☆
そこで、「奥歯の溝をあらかじめ合成樹脂などで埋めて、歯ブラシの毛先が届かない場所に、食べかすや細菌が入り込まないようにしよう」というのがシーラントです。
むし歯になったところを削って詰めるレジンなどの詰め物と違い、むし歯になる前から、なりそうなところに詰めます。歯を削らないでできる予防処置ですね!
今の子どもたちにむし歯が減っているのも、ひとつにはこのシーラントのおかげだと思われます。
《シーラントが必要なお子さんの例》
・奥歯の溝が深く、プラークがたまっている(=歯ブラシが届いていない)
・奥歯の溝が初期むし歯になりかけている、またはなる可能性が高い
・あごが小さく、歯ブラシが奥歯に届きづらい
・ほかの歯がむし歯になっている
・むし歯になりやすい食生活をしている
・フッ素入りの歯磨き剤を使っていない
など
《シーラントが必要でないお子さんの例》
・奥歯の溝が浅く、プラークがたまっていない(=歯ブラシが届いている)
・ほかの歯にむし歯がない
・むし歯になりにくい食生活をしている
・フッ素入りの歯磨き剤を使っている
など
シーラントが奥歯の溝のむし歯予防に有効とはいえ、歯科では、奥歯に溝があればとにかくシーラントを入れるわけではありません。
奥歯の溝の深さだけでなく、ほかにむし歯があるか、歯磨きはきちんとできているか、食生活はどうかなど、お子さんのむし歯になりやすさを総合的に考えて、シーラントを入れた方がいいかを判断します。
極端に言えば、たとえ溝が深くても歯磨きがしっかりできていてプラークが溝に残らないようなら、シーラントは必要ありません。
ちなみに、奥歯の溝が浅くシーラントが必要ないお子さんに、「予防のため安心だから」とあえて入れるのはおすすめできません。というのも、溝が浅いと、詰めたとしても外れやすいのです。詰めたシーラントの一部がはがれて段差になると、そこにプラークがたまり、逆にむし歯になりやすくなってしまいます。
次回は
~シーラントと賢くつきあう3つのポイント~